胆南星(たんなんしょう)について

　胆南星(たんなんしょう)は天南星を牛の胆汁で炮製したものです。牛の胆汁は苦くて脂っぽく潤いがあって、身体を冷やす働きが強いです。天南星と牛胆汁を合わせると、天南星の身体を温め乾かしすぎる欠点が補われて、身体の熱を冷まして心臓・肝臓の血を潤す作用が加わります。熱を冷ましつつ、粘い水分を除いて、咳・喘息・動悸・神経不安を落ち着かせるようになります。
　そもそも胆南星(たんなんしょう)なんて、日本で手に入りにくい生薬を使うのも、ある更年期の奥様の動悸を治すためでした。体調を崩したりストレスが重なると、胸だけでなくてお腹から、咽喉もと、こめかみまで動悸がして、寝ていられなくなります。その方は、動悸を静める漢方処方のほかに、牛黄がとてもよく効いていました。しかし高価な牛黄を毎日飲むわけにもいかず、それと似たようなものとして胆南星(たんなんしょう)を使ってみると、これはかなり良いようです。