馬銭子(まちんし)について

　馬銭子(まちんし)は植物マチンの種で、猛毒を持っています。蕃木鼈子（ばんぼくべつし）、「ホミカ（子）」とも呼ばれています。
　中医学では「毒で以て毒を制する」的な考え方が昔からありました。用法は少量を苦味健胃薬として、食欲増進剤として用いられます。また血圧上昇効果や心臓機能の回復に用いられることもあったようです。臨床で使うことは滅多にないのですが、優れた痛み止め作用があるため、外用薬では今でも使われることがあります。
　馬銭子(まちんし)を煮沸したアルコールに入れて蒸留し、その残渣に硝酸を加えると、無色の針状結晶ができます。この非常に強い苦味があり、難溶性（熱湯には溶け易く、アルコール等にはやや溶ける）の物質がストリキニーネであります。適量なら興奮作用があり、健康増進剤となるため、イーストン・シロップなどの名称で広く利用されます。またその強い毒性から害獣駆除にも用いられます。