鹿茸(ろくじょう)について

　鹿茸(ろくじょう)は梅花鹿（バイカロク）または馬鹿（バロク）の雄の旧角が、春に脱落した後に新生する幼角（袋角）を乾燥したものです。
　漢方の古典といわれる『神農本草経［しんのうほんぞうきょう］』にも、「漏下、悪血、寒熱驚癇を主治し、気を益し、志を強くし、歯を生じ、老いず」とあるように、力強く伸び始めた幼角を採取した「鹿茸」は、体力増進・強壮に非常に優れた漢方高貴薬として「人参」とともに珍重されていたようです。
　漢方では、強壮、強精、鎮痛薬として、インポテンツ、めまい、耳鳴り、腰膝の弱体人虚寒証の帯下、慢性病の虚損などの症に応用されます。近年頭部、頚部および脊椎損傷にともなう頭痛、頭重、項頸部の痛み、肩腕痛、腰背痛、めまい、ふらつき、四肢のしびれ感、易疲労感、脱力感、不眠などの症状に対するいわゆる「鞭打ち損傷にたいして適用されてあります。また自律神経失調症、低血圧症、更年期障害にも用いられます。