白朮(びゃくじゅつ)について

　白朮(びゃくじゅつ)はオケラ、またはオオバナオケラの根茎を乾燥したものです。蒼朮と同じものとして扱われることもありますが、中医学上の薬効に明らかな違いがあります。蒼朮は発汗作用があり熱を下げる作用が強く、白朮は逆に発汗を止める作用がある生薬です。
　漢方では、健胃整腸、強壮、利尿、解熱、鎮痛、止汗の効能があり、水毒を除く要薬として、腎機能の減退による尿利の減少または頻数、身体疼痛、胃腸炎、浮腫などに応用されます。まだ、体中に水分が溜まり、排出されないことによって起こる冷え・めまい・頭痛・アトピー・鼻炎・喘息・疲労感・頭重感・むくみなどに効果があるとされます。
　白朮(びゃくじゅつ)には邪気を払う力があると信じられてきました。「オケラ詣り」で知られる京都の八坂神社の初詣は、白朮を燃やした火を持ち帰る神事で知られます。また、お酒に浸けて飲む正月の屠蘇散にも、白朮が配合されています。