丹参(たんじん)について

　丹参(たんじん)は中国産のサルビアの根を乾燥させたもので、中国では古くから生薬として使われてきました。丹参は赤参とも呼ばれ、ともに根が赤いことに由来して名付けられたとされています。また、丹参の「丹」には、「赤」という意味の他に、「不老不死の薬」という意味があります。
　丹参は、さまざまな病気を引き起こす原因となる瘀血（おけつ：血行不良）を改善し、血液をサラサラにする代表的な生薬として知られています。主な効能は、次の活血化瘀（かっけつかお）・養血安神（ようけつあんしん）などがあげられます。血液が汚れてドロドロ状態になると、血管をふさいで血流が悪くなるだけでなく、血管の内壁を傷つけることになります。これは瘀血と呼んでいますが、瘀血がひどくなると狭心症や脳梗塞などの生活習慣病を引き起こします。丹参は、こうした瘀血を改善し、血液をサラサラにする生薬の代表的な存在です。
　漢方では、丹参を服用すると強壮、鎮静、鎮痛、活血、駆オ血作用があり、生理不順、無月経、頭痛、腹痛、血管拡張作用、血液の循環をスムーズにする作用などがあります。
　中医学には、当帰（とうき）・熟地黄（じゅくじおう）・芍薬（しゃくやく）・川芎（せんきゅう）の四つの生薬から作られた、婦人病の聖薬といわれる「四物湯：しもつとう」という中成薬がありますが、丹参には血液を補い、血行を良くし、鎮静作用があることから「丹参一味で、四物湯に匹敵する」とまで言われてきました。